読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

circaのブログ

ほんでもまんで生きとるわいね

耽美で狂気に満ちたホラー映画 『ハンニバル・ライジング』

今週のお題「映画の夏」

 

真夏になるとやたらと戦争映画を見る機会が増えるわたしだけれど、連日うだるようなこの暑さ。今日は猛暑を吹き飛ばすような、怖い映画を一つ紹介しようと思う。

 

ハンニバル・ライジング

 

羊たちの沈黙』を見た人なら知っている通り、本編の続編だ。人喰いハンニバルの異名を持つ狂気に満ちた精神科医の、幼少期~青年期の物語。アンソニー・ホプキンズの大ファンなわたしは、彼の映画は殆ど見るのだけど、この『ハンニバル・ライジング』に彼は出ていない。代わりに典型的な英国紳士風の、若くてイケメンな青年が主役だ。ギャスパー・ウリエルというフランス人俳優らしい。イケメンで気品のあるレクター青年が、幼少期のトラウマに苦しむ姿や、彼が唯一心を許す叔母のレディ・ムラサキ(この名前には笑ってしまったけど)との絡みはもう、サイコ・サスペンスであることも忘れてうっとりしてしまう。

 

ネタばれしないようにストーリーの詳細は端折るけど、レクターが何故猟奇的殺人者になったのか、この映画を見ると分かる。幼少期の悲劇から復讐を誓い、それを成し遂げていくレクター青年。耽美でストイックで残酷な彼は、レディ・ムラサキといる時にだけ、人間らしい温かい心を取り戻す。彼を狂気から救おうとするレディ・ムラサキもかなりの美人だ。そう、レクターの叔母は日本人なのだ。だから日本の美学も映画の随所に描かれている。次第に歪んでいくレクターの心の奥底には、実は日本人の精神が宿っている。そんなところも見どころのひとつだ。

 

人間の、正気と狂気のはざまを揺れ動くレクター青年はとてもセクシーで、レディ・ムラサキが女性としてではなく叔母として、最後の最後で判断を見誤らなければ、のちのハンニバル・ザ・カニバル(人喰いハンニバル)は存在しなかっただろうと、脱力感と非道な満足感に満たされる物語。彼が何故医師を目指したのか、その理由も分かって尚、背筋が凍る。誤解を恐れずに書けば、全編とにかく美しい。

 

13日の金曜日エルム街の悪夢シリーズの怖さは嘘くさくネタっぽくて、わたしは見る気にならない。そしてシリーズ化すると映画は大抵マンネリ化して、面白みがなくなる。でも、ハンニバル・シリーズはどれも傑作だ。『レッド・ドラゴン』は個人的には『羊たちの沈黙』よりも怖かったし、『ハンニバル』は・・ああ、これを書きながら思い出した。『ハンニバル』だけまだ見てなかった。この夏、見よう。

 

憎悪と愛。正気と狂気。相反する感情の狭間で揺れ動くレクター青年。人間の極限をリアルに描いたフィクション映画『ハンニバル・ライジング』は、お勧めです。

 

日本語字幕付きが見つからなかったけど、映画予告編を。

(字幕付きもちゃんと出てます)

www.youtube.com

暑い夏を上質のホラーで涼みたい方は、一見の価値ありです。